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小児の舌圧のお話

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「舌圧」は食べる機能を表す数値評価。 口腔機能を測る新しい評価の値で、長年朝倉歯科医院では使用していますが、今ではポピュラーな検査です。2018年に口腔機能低下症と口腔機能発達不全症が新しい病名として認められたことにより、歯科では舌圧などの口腔機能がより注目されるようになりました。  『この方は上手くたべることができますか?』 超高齢社会となった日本で、歯科医師の私たちが医科や介護の方々からよく受ける質問のひとつです。 こどもの場合でも<口腔機能が発達不全になっていないか>を検査することにも使いますから、老若男女を問わずこの検査は有効です。 「食べる」ということを考えると、舌圧(ぜつあつ)は、舌と口の天井(口蓋)の間で食べ物を押しつぶす際に生じる力をいい、食べたり、飲み込む機能(摂食嚥下機能)、発音、呼吸などに深く関与しています。 小児の口腔機能発達不全症という病気の診断指標となります。 舌圧を測定した結果、舌の力が弱いことを「低舌圧(ていぜつあつ)」といい、下記の問題が生じます。 食事の時間が長くなったり、食べる、飲み込む、話す機能の発達障害の原因になります。 いびき、睡眠時無呼吸症候群、口唇閉鎖不全症(お口ポカン)のほか、栄養摂取の問題から身体発育遅延の原因にもなります。 〇舌圧検査 舌の運動機能を最大舌圧として測定する機器です。 口腔や嚥下の機能の低下に対して行うリハビリテーションにも写真の舌圧測定器を使用します。5分ほどで終わる簡単な検査です。 舌圧検査からわかること 小児の最大舌圧の目安(平均値)は3歳児:11.8kPa/4歳児:16.6kPa/5歳児:22.1kPa/6歳児:25.3kPaです。 調査では10~60歳代の20%前後、低舌圧が認められました。低舌圧が認められた場合は、歯科医師、歯科衛生士のもと、低舌圧を改善するトレーニングをおこなって改善していきます。 舌圧は天然歯数や咬合状態など歯の問題に影響を受けないという利点もあるので、老若男女を問わずもっと多くの患者さんに検査を受けてほしいと思います。

「eat right=良食」のお話

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  この数字はなんでしょう? この数字は1日3回食事をしたと仮定した、80年間の食事の回数です。( 3 回 ×365 日 ×80 年) 87,600 回の食事、毎回美味しくたべていますか? よく噛んでいますか? 健康によい食べ物を意識して選んでいたとしても健康によい食べ方はできているでしょうか? eat right 「イートライト」という言葉をご存じでしょうか? eat right 「イートライト」は『 「正しく食事をとる」、「正しい食事をする」=「良食」 』 という意味を持っているグローバル・スタンダードな言葉です。 食べたいものを美味しく食べるためにも歯は大切です。 歯科医師は食べ物の入口の歯と口の専門家です。歯科の立場から良食についてお話をしていきたいと思います。大切なことは、2点です。 ●全部の歯を使って、よく噛んで食事をされていますか? ●食事に時間をかけて、バランスよく食べていますか? 歯の役割はその部位によって役割が違います。 食材を噛み切って、細かくしてすりつぶす。唾液とよく混ぜて飲み込むには全部の歯を使って行います。それぞれの歯の役割は図の通りですが、その中の一本でも歯が欠けるとその機能は著しく低下します。抜けてしまうと、その部分に生じた噛み合わせの狂いが、徐々に全身的な不快な症状、「不定愁訴」がでてきます。 さて、私たちの食事は、 主食(雑穀類)おもにエネルギーになる、主菜(肉 類)おもにからだの組織をつくる、副菜(野菜類)おもにからだの調子を整えるに分けられます。そのバランスは主食4:主菜1:副菜2です。バランスよく食べていますか? 私たち歯科医師、医院のスタッフが「よく噛んで、食べてください」といいますね。 また、「食べる時間が短い、噛まない、噛んでいない…「流し食べ」になっていませんか?」とお尋ねすることもあります。 噛まない食事を続けていると、使っていない筋肉が衰えるように、使わなければ歯も口の周囲の筋肉も、そして歯を支える骨(歯槽骨)も衰えていきます。噛まない食生活を続けていると「噛まない⇒噛めない」、そしてやがて歯を失うサイクルができ上がってしまいます。 ひと口目を意識してしっかり噛んで食べてみましょう 。 よく噛む習慣ができるとお口だけでなく身体的にもいいことがたくさんでてきます。最後によく噛むためのポイントを紹介し

噛むことはとっても大切‼

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  噛むことは歯やお口の環境を良好に保つにだけではなく、全身の健康にもとても大切です。 歯医者さんで卑弥呼の歯がいいぜ(ヒミコノハガイーゼ)」と聞いたことはありませんか?よく噛むこことの効用を覚えていただくためのキャッチフレーズとして使われています。 乳幼児期は、噛むや飲み込むなどの「食べる力」を獲得する大切な時期で、将来の「食べる力」の基盤が形成されます。「食べる力」を育てるために、ご家族の方にも覚えていただきたい言葉です。 「ひ」     肥満を防止:ゆっくりよく噛んで食べると食べすぎを防ぎます。   「み」     味覚の発達を促す:よく噛むと食べ物本来の味がわかります。   「こ」     言葉をはっきりさせる:よく噛むことにより顎の発達、歯並びが良くなり口をしっかり開けて話すことによりきれいな発音ができます。   「の」     脳の働きを活発にする:よく噛むと脳神経の働きが活発になります。   「は」 歯の病気の予防:よく噛むと唾液がたくさん出て、口の中をきれいにするため口臭の発生も減少し、虫歯や歯周病の予防につながります。 「が」 がんの予防:唾液に含まれる酵素には、発ガン物質の発ガン作用を消す働きがあります。   「い」     胃腸の働きを促進する:よく噛むと唾液中の消化酵素がたくさん出て、消化を助け食べすぎを防ぎます。   「ぜ」     全力投球:よく噛むことで力が沸き、集中力も高まります。力いっぱい仕事や遊びに集中できます。   よく噛んで食べるための 2 つのポイント ポイント 1 急いで食べない ゆっくりと味わって食べましょう。食べ物によって噛みごたえは違います。 噛みごたえのある食べ物は、ひと口 30 回を目安によく噛んで食べましょう。   ポイント 2 飲み物で流しこまない 食べ物が口の中にある時は、飲み物を摂らないようにしましょう。飲み物で流し込んでしまうと、食べたものが細かくならないうちに胃に送られてしまうので消化によくありません。よく噛むと、食べ物が細かくなり、自然に飲みこめるようになります。 お子様とお食事をされる際に、「今は、どの歯を使ってモ

ごあいさつ

明けましておめでとうございます。 皆様年末年始いかがお過ごしでしたか? さて当院、小児歯科ハッピークラブも寒さに負けず、本日 1 月 5 日 ( 金 ) から診療スタートしております。 今年もたくさんの患者様に笑顔になってもらえるよう、あさくら小児歯科ハッピークラブに通ってくださる患者様、保護者様へより良い医療を目指して、診療に当たります。 本年もどうぞ宜しくお願い致します !!

歯みがきをいやがります。いい方法はありますか?

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  乳幼児をもつお母さんからのこういった質問を受けることがあります。 1歳半くらいの年齢では、歯みがきをいやがる場合が多いですね。 子供さんが小さくて、寝かせみがきをする時は、時間をかけずに効率よく行うことです。 沐浴を嫌がる赤ちゃんでも、保護者の方はいろいろと工夫して毎日お風呂に入れ、体を清潔に保つようにされます。そうしてお風呂に慣れていくわけですが、お口も同じで大切 い歌を歌いながら笑顔でみがいてあげたりてください。保護者の方も一緒に歯みがきをするのもいいでしょう。まずは毎日きれいにする習慣をつけましょう。 大人のみがく力が強すぎて痛くなる、ということも考えられます。上唇小帯(上の前歯に張り出しているすじ状の部分)や歯肉に直接歯ブラシを強く当てないなどにも注意を払ってください。上唇小帯直接歯ブラシを当てると痛くて歯ブラシを嫌がるようになります。保護者の指でしっかりと上唇をめくり、小帯(すじ)が見えるようにして、上唇小帯をさけて一本ずつ磨くようしてください。 歯をみがくことに一生懸命で、子どもさんが不快な思いをしていないでしょうか? 親が歯を磨くことに夢中で子どもに口を開けさせたままだと、唾液が喉にたまり呼吸ができず苦しくなります。一度歯ブラシを口からぬいて、唾液を飲み込むと呼吸が楽になります。これは一例ですが、子どもが何故嫌がるかを観察してみてください。

いい歯の日イベント【親子で検診&なんでも相談会】を開催します!

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  11月8日は「いい歯の日」、歯の健康週間です。「手に入れよう 身体の健康は 歯が命」として各地でイベントなどが行われます。 朝倉歯科医院では10月30日(月)から11月4日(土)まで 親子で検診&なんでも相談会を行ないます。 歯並び、嚙み合わせ、矯正、ホワイトニング、歯周病や入れ歯など、日ごろ歯で悩んでいることのご相談に応じます。 また、「Eat right=良い食べ方」についても、担当歯科医師がお話しします。 健康な口や顎、ステキな口元を育てていく日にしましょう。 お電話でご予約、お待ちしています。 お問い合わせ、お申込み先: 567-0046 茨木市南春日丘1-1-19 朝倉歯科医院 072-625-2001 「いい歯の日」イベント受付まで

こどもの歯並び、噛み合わせ  「指しゃぶりやおしゃぶりの問題」

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  こんにちは、小児歯科 HAPPY CLUB の佐藤です。 今回は 「こどもの歯並び、嚙み合わせ」 についてのお話です。 子どもの時期は、歯と顎(あご)は非常に成長が著しい時期です。 生まれたばかりの赤ちゃんは歯がありません。生後半年ぐらいから乳歯が生えてきます。 2歳半ぐらいで乳歯が生えそろい、噛み合わせができてきます。5歳、6歳ぐらいになると、乳歯から永久歯への生えかわりが始まりますので、子どもの口の中というのは早い時期ほどダイナミックに変化します。  これらの時期で、歯並び、噛み合わせをみていきますと、最初は前歯だけで、いろいろな噛み方をしていますが、奥歯が生えてくると噛み合わせが安定し始めます。乳歯が生えそろった段階、2歳半を過ぎてくると、お子さんの乳歯での噛み合わせがしっかりしてきます。   このころから、 「指しゃぶりやおしゃぶりの問題」 が出てきます。 乳歯の奥歯が生える前は、顎は結構自由に動きます。ですから、歯が生えてない時期のしゃぶる行為というのはほとんど歯に問題がないのです。前歯だけの時期というのも、しゃぶるのがもともと当然の時期でもあります。奥歯が生える前は、結構いろいろなものをしゃぶっても歯の影響というのはあまり出てきません。1歳前半ぐらいで、最初の乳歯の奥歯(第一乳臼歯)が生えます。そこが噛み合ってきて、ずっと指しゃぶりとかおしゃぶりが続いているお子さんは、2歳ぐらいでも影響が出てくることがあります。 ただし、奥歯の噛み合わせがしっかりしてきた後の、「指しゃぶりやおしゃぶり」が続くと影響が出やすいのです。口の発育、歯の発育と噛み合わせの状態をみながら、対応も考えていく必要があると思います。  指しゃぶりが続くと1歳、2歳ではそんな極端な影響は出にくいですが、2歳半を過ぎてくると、例えば指しゃぶりが長く続きますと、歯列弓(歯のアーチの、特に上顎のアーチ)が狭くなってくる、前歯が突出してくるなどの影響が出てきます。また、しゃぶる指によって、下の前歯が逆に押されたりします(親指をしゃぶるお子さんが多いため)。 他にも開咬といって、前歯が開いてしまうような状態(奥歯が噛んでも前歯がうまく噛み合わない)状況も出やすくなります。その結果、いろいろなものを前歯で噛み切れない状況が生まれやすくなります。 あと、交叉咬合とい